1.生息分布
| ||||
2.生息環境 気温25C(夜間)、32C(日中)。湿度通年75%以上(4 - 11月高く、12 - 3月低い)。 | ||
3.形状 3-1. 花 花はPhal. cornu-cerviと同様に黄色をベースに赤褐色あるいは茶褐色の斑点が不規則に入る。花の直径は3.5cm。ロウ質で厚み感がある。花名はボルネオ島産という意味。 Phal. borneensisに関しては現在、学術的分類が明確ではない。Phal. borneensis、Phal. cornu-cervi、Phal. lamelligeraおよびPhal. pantherinaのそれぞれは花柄や花被片形状からでは個体差の範囲で区別できないものが多く、種の判定が難しい。この結果、中央弁やカルス形状からの判断が必要となる。Phal. borneensisとPhal. cornu-cerviとは同一種とする見解もある。 花期は春と秋。香りは無い。 2. リップおよびカルス
下写真上段はPhal. borneensisとPhal. cornu-cervi系の中央弁を表裏から見た形状を、また下段にはカルスをそれぞれ示す。中央弁基部から飛び出た棒状突起(カルス写真で先端が青紫色のもの)の先端がPhal. borneensisでは水平にカットされた台形であるのに対し、Phal. cornu-cerviは尖っている。中央弁の先端Padは下段左端に見られるように上部に膨らみがある。しかしそれぞれの形状差は微細であり、別種として分類が適切かどうか、Phal. cornu-cervi f. thalebaniiのように本種をPhal. cornucerviの変種に位置づけるべきかの問題が残る。
3-2さく果 さく果形状は、amboinenses節で多く見られる明確な6筋の溝はなく、微かな筋状のラインが入る。先端に行くにしたがって太くなる円柱形である。Phal. cornu-cerviと同じでPolychilos節に共通した形状である。さく果からはPhal. borneensis、Phal. cornu-cervi、Phal. lamelligeraおよびPhal. pantherinaのそれぞれを区別することは困難である。先端の花被片は枯れ縮むことなく写真に示すように緑色化した花被片を残す。
3-3 変種および地域変異 生息域はボルネオ島のみとされる。変種は特に知られていない。3-4 葉 葉は他のPhal. cornu-cervi、Phal. lamelligeraおよびPhal. pantherinaと比較してスリムで披針状長楕円形である。長さ20cm、幅4.5cm。Phal. cornu-cerviに対して幅が1cm程度細い。但し、この特徴は一般的特徴であって、評価するにはサンプリング数が少ないことと、葉の形状は生育環境に影響されることもあるためこれを判別の決定要件とすることはできない。葉は硬質で写真のように左右に張り出しており立ち性。ポット植えでは頂芽は垂直に伸びる。葉間は、ある程度の間隔があり自然界では太陽の移動に伴い葉全体に照明が当たると思われる。室内栽培でのポット植えでは全葉一様に照明を与えることは難しい。写真は半透明プラスチックとヘゴチップ植えであるがよく成長する。
3-5 花茎 花茎は15cm。主茎から2-3番目の腋(エキ)芽までは円筒状で伸長するが、その先は扁平(上写真参照)となる。花はこの扁平となった茎の腋芽に着く。3-6 根 根は太く円筒形であり、広い気層を必要としていると思われる。コルクへの活着は遅い。根の成長は活発で、このためコルクよりはクリプトモスやヘゴチップ(上記写真参照)が適している。この組み合わせでよく成長する。自然界では表皮の粗い支持木に着生しているものと思われる。 | |||||||||||||||||||||||||||
4.育成
| |||||||||||||||||||||||||||
5.特記事項 開花中の株であっても外見からはPhal. cornu-cerviとの種判定が難しい。このため海外からの入手に関してはミスラベル(タグ)の可能性が高い。 | ||