1.生息分布
| ||||
2.生息環境 ボルネオ島では海抜300m、タイでは海抜600m以下に、またフィリピンではPalawanからMindanaoまで広く分布し、800m以下の低輝度に生息。 | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片 本種の多くは、写真上段左が示すように花被片は透明感のある白色をベースに、その基部には青紫色の小さな斑点が入る。中央はベトナム生息種で斑点が無い稀なフォーム。右はフィリピン生息種。花径は胡蝶蘭の中ではPhal. appendiculataに次ぐ小型で1.2‐1.3㎝。花名はdeliciousから。フィリピンでの本種はKingidium philippinenseと呼ばれ、Phalaenopsis属とは別属と分類されてきたが2013年RHS(英国王立園芸協会)のOHRAG(ラン交配登録に関する諮問委員会)において、Phalaenopsis属に統合された。花期は晩春と秋。花茎は多数に分岐し、枝当たり2-4 輪を6か月間程、順次咲き続けることがある。 2. リップおよびカルス リップの側弁にはストライプが入り、リップ中央弁は3角形状で先端は花被片のベース色が、また基部側2/3は斑点と同じ配色。カルスは先端を2分岐した1組の歯状突起を、また中央弁の中心線に沿って緩やかな白色の突起をもつ。
3-2 さく果 さく果は2cm。4ヵ月で胚が完了する。下写真は交配後2ヶ月間程で花被片が枯れ落ちる様態を示す。3-3 変種および地域変異 1. Phalaenopsis deliciosa subsp. Phal. hookerianaインド北東部の生息種で、ベースが薄黄色の花被片に赤桃色の斑点をもつ。7月が最花期となる。 2. Phalaenopsis deliciosa f. alba 3. Phalaenopsis deliciosa f. coerulea 3-4 葉 葉長12-15cm。幅4.5-5.5cm。深緑色で葉肉は薄い。Phal. deliciosa v. hookerianaの古い葉では一部が茶褐色となることがある。多くの株で下写真左のように葉の縁が細かい鋸波状となる。また野生種では写真左の株のように単茎性の胡蝶蘭としては稀な、側芽の発生が多い。タイやベトナム産では葉形状は長楕円である一方、フィリピン産は卵形で幅広が多い。 albaタイプの葉は薄緑色が多い。薄葉であることから、湿潤な環境に生息していると思われる。
3-5 花茎 花茎は細く20-25cmで1株に4-5本発生し緑茶褐色。それぞれの茎は3-5本に分岐し、茎の先端部に3-4輪の花を付ける。開花が終了すると茎は枯れる(一時的に休止し、再び花芽を着ける様態も見られる)。Phal. appendiculataやPhal. modestaなど花径の小さな種は花茎が短く雨滴を避けるためか葉下で開花するが、本種は小さな花であるものの、長い花茎を伸ばしその先に花を付ける。
3-6 根 根は茶褐色や写真のように銀白色などがある。根冠は黄緑色。ミズゴケ・クリプトモス混合と素焼き鉢、ヘゴチップとプラスチック鉢などいずれも成長が良い。コンポストを選ばない丈夫な種である。
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||
4.育成
| |||||||||||||||||||||||||||||
5.特記事項 暗い環境でも開花する種はPhal. tetraspisやPhal. fuscataが知られているが、本種も低輝度下問題なく育ち、開花も見られる。 | ||