1.生息分布
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2.生息環境 詳細は不明。本種生息地とされるTenom地区の、Tenom Agriculture Parkに多くのPhal. giganteaの展示が見られることからPhal. giganteaと似た生息様態と思われる。栽培を通しての印象は32℃を超える夏季の高温に弱いことから、Phal. giganteaと比較してより標高が高い生息域種と推測される。 | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片 花被片は5 - 5.5㎝。花茎の先端に同時に10輪程開花することもあるが稀で、通常は2-5輪である。開花が終われば1か月程で再び同じ花茎に数輪花をつけることがある。国内の開花期は5-6月。セパル・ペタル共にベース色は先端から中心部に向かって淡い黄緑のグラデーションがあり、赤褐色の斑点が不規則に入る。セパル・ペタルの形状は写真が示すように幅は細長いものから卵形まで様々である。しかしPhal, giganteaほどの丸みはなく、セパル・ペタルが互いに重なり合うことはない。 2. リップおよびカルス リップ中央弁は基部から先端に向かって白のベース色に紫のストライプが左右それぞれ2-3本入る。中央弁先端は白色で中央部は丸みのある凸型。繊毛はない。側弁は基部が黄色で内側には花被片の斑点色と同色の斑点が入る(写真中央)。外側は白色。中央弁の竜骨突起は小さい。カルスは2組でanteriorおよびposteriorともに先端2分岐の突起形状で、posteriorカルス(先端が黄色の2分岐突起)は中央および右写真が示すように先端が八の字方向を向いている。配色を除けばリップ形状はPhal. giganteaと類似する。
3-2 さく果 写真はシブリングクロス1か月後のさく果を示す。Phal. giganteaと比較してややスリムで長く10cm - 12cm、表面は銀緑色。
3-3 変種および地域変異
3-4 葉 本種の葉は、40㎝ほどのサイズ内ではPhal. giganteaの形状との違いを見出すことは難しく、Phal. giganteaはやや銀緑色の光沢がある点で僅かに異なる程度である。Phal. giganteaと比較して葉はスリムであるとされているが、これも葉長が40㎝を越えてから現れる違いである。一方で、Phal. giganteaの人工栽培で葉長を50㎝以上に育種することは難しく、このため葉形状からの分類は困難であろう。下写真左および右は全て入荷直後の順化中の30-40㎝葉長のPhal. doweryensisであり、葉の幅は15㎝とPhal. giganteaと変わらない。左は炭化コルク右は杉皮板を支持体としている。コルクやヘゴ板の場合、株を大きくするためには、支持体が隠れる程、根周辺を大量のミズゴケやヘゴチップで覆い根張り空間(体積)を増やす工夫を行う。入荷時の根の状態が良くない場合は順化過程で古い葉の1-2枚が1か月以内に黄変し落葉する。
3-5 花茎 花茎は15㎝ - 25cm。葉長の2/3程度の長さで葉長を超えることはない。Phal. giganteaの花茎はほぼ垂直に下に向かって伸長するが、本種の花茎は湾曲するものが多い。
3-6 根 根はやや太く緑色と銀白色が混じり、支持体に活着すると扁平になる。根冠は黄緑色。葉長と同程度に伸長する。胡蝶蘭原種全てに共通しているが、根の数およびその長さ株サイズを決定する最も大きな要因となる。このためにはPhal. gigantea同様に根張りの十分な体積が支持体に必要となる。下写真右のように根張りの空間が込み入ってきた場合、植替えが必要だが、それまではこれら全体を支持体の背面を含め、再びミズゴケ等で覆うのが良い。
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4.育成
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5.特記事項 本種に関するトッピック(歳月記)を参照。 | ||