1.生息分布
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2.生息環境 海抜450m以下。気温20℃-30℃。湿度80%。川辺周辺の湿度の高い場所に生息。一部の地域種は700-1300mの石灰岩上のコケや木に着生。気温は左記より2℃程低い。 | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片 花被片は乳白色をベースに先端部が薄黄あるいは薄緑味を帯びる。ラテラルセパルは赤紫色の線状斑点をもつ。花被片は光沢があり、縁は写真に見られるように後ろに反っており先端がツイストしている。花径3.5-4.5cm。花名のfimbriataは’襞をもつ’という意味で、中央弁の白い繊毛が襟毛のように見えることに由来。中央と右写真は花被片が細いsumatra産で高度が高い地域のものと思われる。低地産は幅が広くなる。開花期は春から初夏。
2. リップおよびカルス リップ中央弁は基部から中央部が紫紅色。中央部から先端部への外周は白色。細毛が密集している。カルスは3組でanteriorとcentralは先端が2分岐した歯状突起、posteriorカルスは腺状魂となる(写真右端のcentralとposteriorは一体のようにも見える)。側弁は黄色に赤い斑点がある。稀に中央弁全体が紫紅色であったり、側弁が黄色だけのものがある。中央弁先端の突起(写真中央)は本種の特徴である。
3-2 さく果 さく果は7-8cm。緑色で深い6筋の溝をもつ。交配後花被片はさく果と同じ緑色に変化しそのまま保持する。4ヶ月程度で採り播きができるが夏の高温期を跨ぐと受粉率は低くなるようで、なかなか交配苗を得ることは難しい。
3-3 変種および地域変異 1. Phalaenopsis fimbriata subsp. sumatrana海抜700m以上。花被片は低地普通種に比べて細く長い。3-1項の写真中央と右はこのsumatranaタイプである。
2. Phal. fimbriata f. alba albaタイプがあるとされるが、本サイトでは未確認。 3-4 葉 葉の長さは20-30cm、幅7-10cm。幅広の長楕円である。新葉は水平方向に伸長するが、古葉になるにしたがって下垂する。胡蝶蘭の中では最も薄葉で、それぞれの写真のように波打つ傾向が見られる。このアンジュレーションは同じように薄葉であるPhal. modesta やPhal. violacea v. mentawaiに共通する。着生蘭でありながら、これ程の薄葉であることから考えると、周年湿潤な環境に生息していると思われる。かって本種はPhal. modestaやPhal. tetraspisと混同されることがあったとのこと。葉形状からは区別が困難な株があるが、花被片は明確な違いをもつ。
3-5 花茎 花茎は10-15cmで同時に4-5輪の花を着ける。一般に花茎の長さは葉の長さ程度までと考えられ20-30㎝止まりであろう。花茎は同時に2-3本葉下に出るため葉裏での開花が多い。3-6 根 根張りは活発であり、コルクでは大きなサイズが好ましい。 | ||||||||||||||||||||||||||
4.育成
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5.特記事項 偶然かは分からないが、インドネシアから入手する株の花被片形状は、標高の高い地域産とされる細幅ばかりである。幅広である低地産は生息数が少なく入手困難なのかも知れない。これらはSumatra島高地生息種と考え、高温ではなく中温タイプでの栽培が必要と思われる。 | ||