1.生息分布
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2.生息環境 海抜600m以下。温度18-28C。湿度85-88% | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片 花被片は3-5cmの星形で、白から薄黄色地に比較的大きな赤あるいは栗褐色の斑点が横縞風に入る。3-4本の花茎が複数分岐し、同時に100輪を超える花をつけると言われる。通常は大株でも40-50輪ほど。花被片はPhal. bastianiiと類似する(違いはPhal. bastianiiのサイトを参照)が、本種はPhal. bastianiiと比べてやや抱え咲きであり、蝋質ではない点で区別することができる。花期は晩春から夏。オレンジの皮の柑橘系の香りがある。花名は収集家W. T. Burbidgeの妻の名に由来する。
2. リップおよびカルス 中央弁は楔菱形(右写真)で、リップ基部から中央にかけて急峻に立ち上がる鋸歯状台形の竜骨突起がある。また中央弁先端は細かな繊毛が密集する。これらの点で花柄からは困難であるがPhal. bastianiiとは大きな違いが見られる。Phal. bastianiiはこの突起がなくなだらかである。カルスは2組で、anteriorおよびposteriorカルスは先端2分岐。anteriorカルスの上に重なるようにやや短い薄い先端2分岐の突起がある。
3-2 さく果 花被片は枯れ落ちることなく、さく果と同じ緑色を保ち続ける。3-3 変種および地域変異 花被片の色について、白に赤褐色斑点がSulu Archipelago、黄色の地色に赤褐色がLuzon島、花被片が緑味のあるフォームがMindanao産と言われる。1. Phalaenopsis mariae f. flava 花被片の赤色斑点が黄色から黄緑色をしたフォームをflavaとする記載を見ることがあるが、3-1項花被片下段に見られるような、リップ中央弁に紫色が残るフォームは、flavaではなく個体差の範囲内と思われる。下写真は斑点が黄味が強く、リップ中央弁の色は白色で真正のflava変移と思われる。
3-4 葉 葉は鮮緑色でやや濃緑色。
入荷直後の葉は下垂しており自然での生息様態は下垂し着生していると考えられる。このような状態から順化栽培が始まり、4-5か月後には上写真のような張りのある様態となる。
3-5 花茎 花茎は20‐30cm長。花が終了しても2年程は枯れないため前年度と新しい花茎とで4-5本となる。花茎はさらに2-3本に分岐し、それぞれに5-10個の花を付ける。葉写真参照。3-6 根 コルクやヘゴ板が適し、多数の根を発生して活発に伸長するためコルク等は大きなサイズが必要である。ミズゴケと素焼き鉢では斜め吊りが必要となる。
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4.育成
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5.特記事項 Phal. luedemmanianaやPhal. hieroglyphicaとミスラベリングで入荷することがある。順化済みの葉の色が明るい黄緑色の場合は疑ったほうがよい。Phal. mariaeは一般に艶のある濃緑色であり区別できる。花形状ではPhal. bastianiiと混同されることがある。J. Cootes Philippine Native Orchid Speciesによると、近年、ボルネオ島で本種の生息が記録されたとある。その生息地の詳細は不明であるが、ボルネオ島カリマンタン北部に近いフィリピンSulu archipelagoには、本種やPhal. bastianiiが生息するとされ、その可能性は否定できないが、これまでマレーシアのサプライヤーにボルネオ島Phal. mariaeの入手を10年近く打診しているものの現在(2022年)に至ってもまだ得られていない。 | ||