1.生息分布
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2.生息環境 海抜800m以下。ボルネオ島熱帯雨林の林冠に生息。一方、Sabahグヌンムル国立公園メリナウ川の支流岸辺の比較的開けた樹林帯で撮影されたビデオがある。自然界での発見は比較的難しいとされる。 | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片 Phal. pantherinaはリップ先端の形状が長く突き出ており、また白い羽をはばたいている鳥のようなことから、花被片のパターンが他の類似する種であるPhal. borneensis、Phal. cornu-cervi、Phal. lamelligera等と容易に区別できる。しかし、マーケットには異種間交配と思われるPhal. cornu-cervi系他種との中間体の様態をもつ株がしばしば見受けられる。花径は高さ5.0 - 5.5cm、幅4.5 - 5.0cmでレオパード調の花柄をもつ。ロウ質で固い質感がある。花茎の2-3節から、扁平な花茎を出し、花茎当たり同時に3-4輪の花を着ける。大株では春から晩秋にかけて半年以上の長期に渡り、花茎当たり1-2輪となるが順次開花を続ける。微香がありP. lamelligeraのような柑橘系とは異なる。
2. リップおよびカルス リップは先端の鳥の翼(三日月とも)と形容される両端が上部に反った形状と、基部(付け根)から先端までの長く伸びた中央弁と、先端のPad(翼の中心部の膨らんだ箇所)にわずかな細毛がある(上段左)点で、それぞれの特徴をもつ。写真下段はリップの側弁を切り取ったカルスを示す。カルスは3組からなり、anteriorとcentralカルスは先端が2つに分岐しておりanteriorカルスは細長い。posteriorカルスは複数個の腺状突起塊となっている。リップ基部から突き出した先端部が紫色の棒状突起(下段左)は、P. borneensisのカットされたような平坦な形状とは異なり尖っている。
3-2 さく果 さく果(左)は6cm長。円筒状で6本の縦溝は見られない。
3-3 変種および地域変異 1. Phalaenopsis pantherina f. flava
2. Phalaenopsis pantherina sp (green based sepals/petals)
3-5 葉 茎は上方に伸長し、葉は長さ20 - 25cm、幅4.5 - 5.0cm。Phal. cornu-cervi、Phal. lamelligeraと同様に厚みがあり硬質である。葉は交互左右に展開することで、ある程度の空間をもつ。このため太陽光の移動に伴い、下葉も照明を受けることができる。大株となれば8‐10枚の葉を着ける。
3-4 花茎 花茎は長さ20 - 30cm。2-3番目の腋(エキ)芽(休眠芽)までは円筒状で伸長するが、その先は扁平となる。花はこの扁平となった茎の腋芽に着く。大株になると、右写真のように腋芽からさらに扁平な2次花茎が2-3本分岐伸長し、その花茎に1-2個の花を着ける。このため1次花茎当たり同時に多数の花を咲かせるようになる。大株になると1次花茎は3‐4本発生する。花茎は放置すればそのまま伸長し、3年間花茎をカットしないもので長さが45cmを超えた。
3-6 根 根は太く円筒形であり、コルクには活着性が悪い(遅い)。このためクリプトモス・プラスチック(あるいは素焼き)鉢が適している。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
4.育成
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5.特記事項 Phal. pantherinaはPhal. giganteaと同じように林冠にも着生している。実生の入手は容易であるが、今日野生種を得ることは極めて難しい。本種はリップ中央弁が長く伸び、先端の翼形状が特徴であるが、マーケットに中央弁の伸びが短いPhal. pantherina種名のタグがしばしば見られる。これらはPhal. cornu-cerviやPhal. lamelligeraとの交雑種の可能性がある。 | ||