Phalaenopsis parishii

1.生息分布

タイ
ミャンマー
インド

2.生息環境

 温度20-35 。湿度60-90%


3.形状

3-1 花


1. 花被片
 Parishianae節の特徴であるラテラルセパルが卵形楕円形状でドーサルセパルおよびペタルに比べて大きい。それぞれの花被片は白色地であるが、下写真に見られるように純白(中央)、先端が薄黄色(左)、全体がクリーム色(右)が見られる。花径1.5-2.0cm。5-6本の花茎にそれぞれ5輪程が開花する。リップ全体が紫色であることからPhal. lobbiiPhal. gibossaとの違いが分る。リップ中央弁の外縁が白いフォーム(左)と全体が紫との個体差も見られる。右写真で後ろに映る花被片が黄色のものは交配後の花で、さく果の成長と伴に花被片が枯れ落ちるまでの色変化である。開花期は春から晩夏。

Flowers

2. リップおよびカルス

 リップは基部と、白地の側弁内側に黄土色の斑点がランダムに入る。中央弁全体は紫色でPhal. lobbiiPhal. gibossaの茶や黄色とは異なる。中央弁は3角形状。風などで前後に揺れる。カルスは2組とされ主カルスは4本の紐状の突起(写真右の上側)をもつ。

Lip and Callus

3-2 さく果

 さく果は2cm。6筋の溝が先端まで入る。花被片は交配後縮れて枯れる。4ヵ月程で採り撒きができる。右写真は1年半後のフラスコ内の苗である。

Seed Capsule

3-3 変種および地域変異

 インドからタイに至る広い範囲で生息しているが変種は知られていない。ラベルでPhal. parishii v. lobbiiと呼ばれるものがあるが、これは今日Phal. lobbiiとして別種に分類されている。下写真はPhal. sp aff. parishii としたが、左写真はリップ中央弁のカラーフォームからPhal. lobbiiと、またセミアルバ様態の右写真はPhal. gibbosaとも思われるが、中央弁基部中央の窪みの手前外縁に円弧上に広がる白い細毛状の突起は、Phal. gibbosaPhal. lobbiiには見られない。これら類似種とは生息域が重なることから自然交配種の可能性もある。いずれも野生株としての入荷種である。

1. Phalaenopsis sp aff. parishii

Phal. sp aff. parishii

3-4 葉

 葉は緑銀色。葉長12cm、幅5cmで艶のない細長の楕円形状。葉数は3 - 4枚で多くはない。主茎から栄養芽がでる傾向がある。

Leaves

3-5 花茎

 花茎は葉長より短いか、同じ程度。一過性で花が終了すると枯れ、翌年新しい花茎を出す。

Inflorescences

3-6 根

 根は扁平で支持体に活着すると皺のある銀白色。株の大きさの割には多数で長い。ミックスコンポストを含め、どの様なコンポストでも良く育つ。

Roots

4.育成

  1. コンポスト

    コンポスト 適応性 管理難度 備考(注意事項)
    コルク、ヘゴ、バスケット      
    ミズゴケ、クリプトモス 素焼き    
    杉皮板      

  2. 栽培難易度
    容易

  3. 温度照明
    普通。休眠期に移植すると枯れる危険性が高い。

  4. 開花
    多くの花茎を出して10輪以上が同時に開花する。フラスコ出しから1年程で開花し胡蝶蘭のなかでは採り播きから開花までの時期(2年)が最も短い。

  5. 施肥
    特記すべき事項はない。

  6. 病害虫
    病害虫には強い種である。
 

5.特記事項

 Phal. parishiii 、Phal. lobbii、Phal. mariponensisはそれぞれ形状的には酷似しており、地域差や個体差を考えると可視的な分類では困難な場合がある。