1.生息分布
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2.生息環境 海抜1,200m、温度13-25C。湿度85-94%。川辺周辺の木の高所にコロニー状で生息。胡蝶蘭としては中温環境である。 | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片花被片の形状は Phal. amabilisに似るが、開いた左右のリップ側弁全体が鮮やかな黄色で、Phal. amabilisとは容易に区別できる。複数の花茎に茎当たり10輪ほどの花をつける多輪花種である。ほとんどの花被片は純白色であるが、薄いピンク(特に花被片裏)あるいはラテラルセパルの基部に赤い斑点が入る。多輪花で同時に開花するためPhal. schillerianaやPhal. stuartianaと並んで胡蝶蘭の中で最も華麗な種の一つである。一部で本種がPhal. aphroditeとPhal. schillerianaとの自然交雑種(x leucorrhoda)と混同されたが、現在では独立した種とされている。 Phal. schilleianaに比べて初花から一斉開花までの時期は一般に早く1-2週間程度となる。通常花サイズ(左右ペタル間スパン)は花径は7.0cmとされるが右写真のように10㎝も稀にある。開花時期は春。香りはほとんど無い。
2. リップおよびカルス 下写真で上段が本種のリップおよびカルスを示す。側弁のposterior側には赤い棒状斑点が入る。
セパル・ペタル形状だけからはPhal. amabilisやPhal. aphroditeとの違いを識別できないが、本種はリップ側弁全体が鮮黄色で、中央弁の形状が三角形ではなく台形で、基部の左右の突起(lateral teeth)は小さい。下写真にPhal. stuartianaを含めそれぞれの違いを示す。
3-2 さく果 さく果は淡緑褐色で花被片は縮んで枯れる。多種同様に4か月程で蒔種が可能となる。交配から播種までの期間は25℃以下が好ましい。
3-3 変種および地域変異 花被片の色(白、薄いピンク)や基部の小斑点の有無などの変化があるが変種とされるものは知られていない。
3-4 葉 葉は長楕円形。長さ30 - 35cm、幅10 - 15cm。表面は一般には下記写真左端に示す緑色地に銀緑色あるいは鼠色班が入る。葉表面からはPhal. schileriana、Phal. celebensisまたPhal. lindeniiと区別することが難しい。一部は下写真左から2つ目のやや赤みのある泥緑色に白い斑が散らばっているもの、写真右から2つ目の鮮緑色に僅かに銀緑色班あるものなどが含まれる。僅かな斑点しかない葉は本種やPhal. stuartianaでは見られるが、Phal. schileriana、Phal. celebensisには見られない。裏面は下写真右端に示す濃紫色を帯びる。葉は大きくなると下垂するためポット植えでは斜め吊りが必要となる。
3-5 花茎 花茎は茶褐色の赤軸で、蕾の外皮も同色である。野生種花茎は1mを超えると言われるが、温室栽培では60-70cm程度となる。1本の花茎からは4-5本の分岐が観測された。花茎は一過性で、花が終われば枯れる。本サイトの温室では夜間温度が18Cとなる時期から花茎が発生する。
3-6 根 銀白色で太い。活着で扁平となる。根冠は茶褐色で活着面は黄土色。旺盛な根張りとなる。 |
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4.育成
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5.特記事項 本種は葉模様が同じであるPhal. schilerianaと誤って入荷することがある。本種は普通種と言われながらもPhal. sanderiana同様にマーケットでは入手がしにくい。本種の生息域は1,200mと標高が高く、ラン園の多いマニラ周辺の高温環境では長期間の栽培・維持が難しいことが原因の一つと考えられる。 | ||