1.生息分布
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2.生息環境 海抜500m以下。温度24-32C。湿度70-80%。川周辺に生息。 | ||
3.形状 3-1 花 1. 花被片 セパル・ペタルは4.5 - 5cm。星形蝋質。黄色あるいは薄黄緑色をベースに赤褐色あるいは栗色の円形斑点や横縞の棒状斑点が不規則に入る。この斑模様は多様で同じものはない。Phal. fasciataに対して本種の花被片はやや幅広が多いが、花被片形状や花柄だけではPhal. fasciataと個体差の範囲内で互いに類似するものがあり、セパル・ペタルの幅のみを種の同定に用いることはできない。同定にはリップ形状および香りによる判定が必要である。花茎当たりの輪花数は少なく2-3輪程度である。これもPhal. fasciataと同じ性格である。花名は人名H.G. Reichenbachから。 Phal. reichenbachianaは現在、フィリピンにおいてPhal. fasciataと区別して取り扱っている業者はいないと思われる。本種の入荷を希望しても所有していると答えた業者はこれまで(2019年)にない。しかしPhal. fasciataとしてミンダナオ島から入荷した株のなかに本種の様態をもつものが含まれていることを考えると、生息地によっては共存している可能性がある。開花期は晩春から夏季。Phal. fasciataに先行して開花する。微香(Phal. fasciataが青リンゴに対して本種はカビ臭い匂いと言われる)。
2. リップおよびカルス リップ中央弁は先端が紫青色で繊毛が僅かに分布する楔形。竜骨突起はPhal. fasciataと比較し、やや低くなだらか。カルスは3組とされ、anteriorカルスは2分岐歯状突起、centerカルスも2分岐歯状、またposteriorカルスは腺状小突起からなる。このカルス形状はPhal. fasciataがanteriorカルスが2分岐歯状突起で同形であるものの、centerカルスがなく、posteriorカルスが多数の線状突起が占める点で異なるとされる。側弁は基部から2/3がオレンジ色でトップが青紫。左写真のように内側に赤褐色の斑点がある。Phal. hieroglyphicaと比べ中央弁の繊毛がやや少ない。
一方、Phal. fasciataとの違いではリップ中央弁先端の形状が本種は菱形で、Phal. fasciataは卵形あるいは長楕円形とされる。しかしカルスや中央弁形状が本種とPhal. fasciataとの中間体形状が、ミンダナオ島生息種に多く見られ、このような2種間の類似特性はPhal. hieroglyphicaとlueddemannianaとの関係と同じである。こうした様態は、生息域によっては2種間の自然交配が繰り返されている可能性が考えられる。下写真はPhal. fasciataおよびPhal. lueddemannianaそれぞれと本種との相違点を示すための中央弁とカルスである。
3-2 さく果 さく果の花被片は交配後も緑色を保つ。深い6つの溝があり、鮮緑色である。
3-3 変種および地域変異 花柄(棒状斑点)は多様であるが、変種は知られていない(ネット上にalbaタイプとされる画像が見られるが本種かPhal. fasciataかは不明)。3-4 葉 葉は20cm。幅7.5cm。やや黄身のある緑色。Phal. lueddemanniana, Phal. hieroglyphicaに比べると短く、丸みがある。厚みを感じ半立ち性。大株になるとトップ4枚程は上方に伸長するが、下葉は下垂するためポット植えには斜め吊りが必要となる。
3-5 花茎 花茎は葉の2-3倍ほど長く伸長する。輪花数は多くない。Phal. fasciataと同様にPhal. pulchraに次いで高芽の発生率が高い。3-6 根 根はPhal. bastianiiと同じ太さ、形状で、Phal. hieroglyphicaと比べてやや細い。 | |||||||||||||||||||||||||||||
4.育成
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5.特記事項 本種はPhal. lueddemanniana, Phal. hieroglyphica, Phal. fasciata, Phal. bastianiiなどと比較し、やや葉長は短いが外見上、入荷時の葉形状からは、それらとは区別できない。フィリピンナーセリにおいては本種とPhal. fasciataとを区別して栽培出荷してはいないと思われる。 | ||