Phalaenopsis x_intermedia

1.生息分布

フィリピン(ルソン島Appari、Panay、Leyte、
Mindanao)

2.生息環境

 海抜1,000m以下300m近辺。温度20-32C。湿度80-85%。Phal. aphroditePhal. equestrisと同じ環境。

3.形状

3-1 花


1. 花被片
 本種はPhal. aphroditePhal. equestrisとの自然交雑種である。異種間自然交配の生息地は通常、狭い地域に限られるが、両種が同じ地域で高域分布していることからフィリピン全土に生息する。下写真に見られるように上段左を除き、花被片は通常白色で、リップが赤桃色から濃赤色まである。花径は4.5-5cm。ペタルの外形は菱形でPhal. aphroditeではなくP.equestrisに似る。一方、ラテラルセパルはPhal. aphroditeに似る。下写真はいずれも野生種であり人工的な交配種ではない。上段左のAppari生息種は2012年に入手。現地サプライヤーによるとマングローブに生息しており、始めて見るフォームとのことであった。下段右はMindanao島から入荷した40株ほどのPhal. equestrisのなかに偶然に含まれていた3株の内の一つである。特に右はドーサルセパルとペタルに赤桃色が入り全体としてサイズは異なるがP.equestrisの様態が強く出ている。花被片のスパンは4.5cmある。このためPhal. equestrisの4N(4倍体)と言われても信じてしまう人がいるかもしれない。なお下画像のそれぞれのフォームはAppari LinawとMindanao2を除いて地域固有の違いを示すものではなく、入荷地域が分かっていることから地域名を記載した。

Appari Linaw
Luzon
Panay
Leyte
Mindanao 1
Mindanao 2

2. リップおよびカルス
 リップはスペード型で、ピンク色から濃赤色まであり、生息地域によって色が異なる。先端は短い2本の髭をもつ。カルスは1組であり黄色をベースに赤褐色の斑点がランダムに分布する。中央写真のカルス突起形状からはP. aphroditeのカルスに相似していることが分かる。写真右はPhal. equestrisとの比較であるが相違点は、中央弁先端の髭状突起はPhal. equestrisには無い。

3-2 さく果

 未収録

3-3 変種および地域変異

1. Phalaenopsis x_intermedia v. portei
 花被片は白色でリップ中央弁が暗赤色ソリッドカラーをもつフォーム

Phalaenopsis x_intermedia var. portei

2.Appari Linaw生息種

Phalaenopsis x_intermedia (Appari Linaw)

2. Mindanao生息種

Phalaenopsis x_intermedia (Mindanao)

3-4 葉

 写真左および中央は本種、右はPhal. equestrisの葉様態である。写真左画像からは、右のPhal. equestrisと比べ幅広なことからPhal. aphroditeの特性と交わっていることが分かる。一方、中央はミンダナオ島からの株で、左右ともに本種(花は確認済み)である。しかしその右側の株の葉裏は薄茶褐色で、ルソン島北部生息の一部のPhal. equestrisを除いて、葉裏が茶色を持つ種は無く、Phal. aphroditeも表裏共に緑である。このことからミンダナオ島生息の本種にはPhal. aphrodite以外のPhalaenopsis節のいずれかとの交配もあり得るのかも知れない。

Phalaenopsis x_intermedia Leaves Phalaenopsis equestris Leaves

3-4 花茎

 花茎は30 - 60cm。赤軸であり輪花数はPhal. equestrisとほぼ同じである。

Inflorescences

3-5 根

 根の形状はPhal. aphroditeよりもPhal. equestrisに類似する。

4.育成

4-1 コンポスト

コンポスト 適応性 管理難度 備考(注意事項)
コルク、ヘゴ、バスケット     BS
ミズゴケ 素焼き   NBS
ヘゴチップ プラスチック   NBS

4-2 栽培難易度

 容易。株が大きくなると、花茎が60㎝程に伸長するため水平台置きでのポット植えは適さない。  

4-3 温度照明

 高温タイプ。中 - 高輝度

4-4 開花

 Phal. equestrisとほぼ同じ時期に開花する。(Phal. equestrisページを参照)

4-5 施肥

 特記すべき事項はない。

4-6 病害虫

 病害虫には強い種である。

  

5.特記事項

 フィリピンの原種取扱業者から入荷する本種は全てが野生株と思われる。現地ではPhal. equestrisとして入荷する中から開花後に選別しているのが実状である。そのためコンスタントな入手は難しい。