3月
現在開花中の18種
27日と28日に撮影した18種です。画像下の青色種名をクリックすると詳細情報にリンクします。
改版ページの校正
改版ページの更新は一段落しましたが、幾つかの点で現在校正を行っています。その一つが、種名でネット検索する人にとって検索率を上げるにはフルネームを用いるのが良いのですが、当初の改版ページでは、例えばデンドロビウムでDen. ellipsophyllumでは緑やオレンジ色など多様なカラーフォームがあり、これらをellipsophyllum_Gとかellipsophyllum_Oなどと色を頭1文字に省略して表記していましたが、この変更です。これはellipsophyllum_greenやorangeとすると、文字数が多く長くなりすぎサムネール(画像のメニューテーブル)での種名と画像サイズとが合わず、配列がイビツになるのを避けたためです。
二つ目は、変種や類似種ではWebプログラミング言語phpのアルファベット配列規定の関係から、anosmum_albaやbandii_affのように種名と付帯文字との間にアンダーバーを当初入れていましたが、このバーを外しスペースに変更することです。理由は、文字と文字の間にアンダーバーを入れ表記すると、ネット検索ではそのバーも文字とされるため、ページヒット率が低下する問題に直面します。例えばanosmum albaを、種名とalbaを切り離し2文字で検索すればalbaタイプのanosmumが検索できます。しかし2文字間にアンダーバーを挿入することで、単にその2文字を含むことを意図しているのですが、バー文字も含む3文字全てが一致するかどうかで検索されるため、検索率はかなり低下します。
そこで現在、プログラミング言語phpとスクリプトやスタイルを調整して、長過ぎる文字はサムネール画像幅と違和感の無い範囲で折り返すなどの手段でフルネームとすることと、種名と付帯文字はスペースで切り離すことにしました。バルボフィラムとデンドロビウムは校正が終了しましたが、セロジネやバンダなどはこれからです。但し、現在属名に公式略名を使用している「その他の原種」に記載の原種の多くが、なぜか属名も種名も余りに名称が長く、これをフルネームとするにはサムネールの画像とその名称が占める表記サイズが違い過ぎ見栄えが悪く、「その他の原種」の属名は略名とします。こうした修正作業中のため、校正前と後の種名が見落としでミスマッチしている場合があり、クリックしたものの”Not found”(該当するページが無い)と現時点で表記されることがあるかと思いますが、各種の詳細情報を急がれる場合は、当サイトのトップページのそれぞれの属のメニューからサムネールを開き、該当する画像下の「詳細情報」をクリックして下さい。
一方、更新後であっても各属種の画像の追加や差し替えは現在1日平均3種程行っています。栽培で新たな開花を見ると、これまでの画像と比較して撮影角度や背景の変更がしたくなったり、寸法画像の追加などが日常です。また画像のマークアップ(画像に書かれた注釈等の)文字は全て英字にしています。これは最近海外からのアクセスも多く、海外の趣味家は主に各属種毎の多様な画像や類似種の比較などに関心があるようで、せめて画像内文字は英文でとの配慮からです。いずれはページ内のテーブル情報も、文字は箇条書きで表現の種類は少なく短文のため、バイリンガルにしたいと考えています。
20 - 21日現在開花中の12種
気温が上がり、温室内の1日の温度差が10℃程になると多くの種で開花が始まります。中でもバルボフィラムのCirrhopetalum節が顕著です。下画像は20 - 21日の撮影で、例年通りの開花が見られます。下画像の中で直近の新種はBulb. isabellinumで2018年の登録です。この種は2016年にマレーシアで入手し、新種発表前となる2017年の東京ドームラン展で、その時の種名はsp(種名不詳の原種)として、販売しました。花写真を添付したものの買われた人はいなかったように思います。改版ページのsp08と並んで最も鮮やかな花色(黄)をもつバルボフィラムです。ボルネオ島生息のDen. punbatuenseは類似(フォームやSpurの異なる)種が多く、現在当サイトでは画像下の青色種名のリンク先のフォームに加え、aff1、 aff2、 aff3、 aff4と5つのフォームに分け、その中でaff1のページ内にそれぞれの比較画像を掲載しました。
現在(18日)開花中の7種
Phal. schillerianaが現在最花期となっており、栽培している40株程の7割で開花中です。Paraphal. labukensisは5株を炭化コルクに、7株をバスケット植えで栽培しており、現在開花中の株はバスケット植えの4株です。本種は根が常に湿っていることが必要でバスケット植え(斜め吊り)がより成長が良いようです。Den. anosmumの花サイズは左右のペタル間スパン(幅)は一般種で10㎝(平均7㎝)までですが、superbumとされる花サイズは10㎝以上となり、またそのサイズは株の状態や環境に影響されないことから、Den. anosmumとは別種と云うよりは変種と考えています。Den. aurantiflammeumは3月から6月頃が主な開花期となります。画像下の青い種名のクリックで詳細情報にリンクします。
3年程植替えの無い株や、根がポットや支持材からはみ出した株は、開花後には新たな植替えとなりますが、現在ミズゴケの納期が注文しても半年程になっており、サプライヤーのネットには’在庫なし’の状況が続いています。当サイトも昨年12月に3㎏パッケージを5個注文したニュージーランド・ミズゴケは5月入荷予定です。多くの趣味家の方々も、この異常な供給状況や価格高騰の影響を受けていると思います。こうした中、植込み材はクリプトモスやバークなどとミックスしてミズゴケの使用量を押さえ、その分かん水頻度を高めて当面はなんとか凌ぐしかありません。こうした対応でも1年間ほどは成長は維持できますので、植替えを1年先に遅らせ根の多くを失うよりはましと云えます。
現在(11日)開花中の9種
ここ3日程は晴天が続き、寒冷紗を開けた浜松の高温室の中は昼間34℃まで上昇します。夜間は昼間の残温で20℃を僅かに下がる程度です。こうした中、開花中の9種を選んでみました。Bulb. klabatenseは標高から中温とされますが、当サイトでは中温室に2株、高温室に5株を栽培し、この時期高温室の本種5株が全て開花中です。中温室は夏期の開花となります。Bulb. chryglossumは、当サイトではこれまでBulb. denophyllumとしてきましたが、ジャーナルにこの名前と写真があったので、chryglossumとしました。しかし情報が少なく種名は暫定名となります。Phal. schilllerianaは現在40株ほど栽培しており、間もなく最花期を迎えます。写真は先頭を切って開花した本日(11日)撮影の1株です。Aerides leeanaはSamar島からの野生栽培株38株を栽培しており、その内35株が花茎をつけました。先月末から開花が始まり今月末まで続きます。これからPhal. amabilis等胡蝶蘭やDen. anosmumなど多輪花系の原種の開花期となります。青い種名のクリックで詳細情報にリンクします。
マレーシアやフィリピンを始めとする海外からの入荷は、コロナによる影響ですでに2年間途絶え、3年目に入ります。しかし現地では今だEMSなどによる海外出荷の目途すら立っていません。最も心配するのは海外サプライヤーの生計で、マレーシアだけで、当方が知る限りここ2年間で2つのラン園が閉鎖しました。自国原種は胡蝶蘭ハイブリッドなどの慶弔用と異なり、国内マーケットは無いに等しく、海外への輸出ビジネスが2年以上も途絶えることで、原種と共にハイブリッドも手がけてきたラン園を除き、特に1-2次業者は廃業を強いられている状況です。このためEMSの再開ができても、これまで築いてきたルートや拠点の再構築は、暫くは難しいのではないかと考えています。
未知な部分の多いBulbophyllum echinochilum
現在(8日)、Bulb. echinochilumの最花期で、15株程あるほぼ全ての株で開花が始まっています。本種については3年ほど前にも取り上げましたが、orchidspecies.comによると、100年程前にフィリピンで最初に採取された後、スラウエシ島で本種が最近撮影されるまで絶滅したと思われていたバルボフィラムとされます。一方、J.Cootes著Philippine Native Orchid Speciesには、本種はフィリピン固有種でBataanとNueva Vizcayaの2か所、標高900 - 1,000mの生息とされています。リップ形状が特徴で、ハリネズミ(Hedgehog)とか、ブラシのような髭(Bristle)状突起を持つと、それぞれ形容され、花茎の長さはいずれも20㎝で、さらにorchidspeciesでは匂い有りと記載されています。
当サイトでは2010年、本種名のBulb. echinochilumをBulb. echinolabiumと思い違いして、フィリピンラン展Flora Filipina Expoで1株入手したのが最初です。その後2016年、Bulb. ecornutoidesを注文し20株を得たのですが、全てミスラベルで本種でした。最初と2度目共に間違って本種を入手したとは可笑しな偶然です。2度目の入荷当初はBulb. ecornutoidesと思い、本種を中温と高温環境に分けて栽培を始め、その1年半後に複数が開花して本種であることが分かりました。その後の栽培を通して、前記した本種の情報と実態とに多数の相違点があることを知りました。
まず本種は低 - 中温域生息とされますが、夏期の猛暑期間(夜間温度が25℃を超える)を除けば高温タイプに近く、輝度は高輝度下で成長が見られることと、スラウェシ島ではコケ林とする生息情報もあり、標高は500m - 1,200mと推定します。またorchidspecies.comでは匂いマークがありますが、これまで全ての開花株は無臭です。さらに大きく異なるのは、バルボフィラム改版ページに画像を掲載したように、花茎の長さが20㎝とされているのに対し、当サイトでは多数が50㎝以上70㎝まで伸長しています。また知人の栽培では、世界最長記録と思われる1.04m長の花茎が得られており、この画像も改版ページで見られます。5倍以上の花茎の長さの違いは個体差や地域差と云った概念を超えており、亜種あるいは別種の如き特性です。これらからorchidspecies.comや著書に記載の情報は開花が始まって間もない(1-2週間)後の株の様態からの推定値か、あるいは検証サンプルが十分でなかった背景などが考えられます。希少性については不明ですが、2017年以降、現地ラン園や展示会において本種を見かけていません。
下写真は本日(8日)撮影のBulb. echinochilumで左は15-20バルブの株を4株並べ撮影したものです。植替えを4年間程していないため株の1/3が支持材からはみ出しています。多くの花茎が出ていますが1週間程経過したところです。さらに詳細画像は画像下の青色の種名をクリックすると表示されます。
直近1週間の開花種
9種を選び撮影しました。上段はいずれも短命花で、左からそれぞれ1日、2日、5日です。旧名をFlickingeria fimbriataとするDen. plicatlieはタイからスマトラ島、ボルネオ島など広範囲に生息しています。写真はキャメロンハイランドにての入手です。中段のDen. spectabileはスペクタクルとの形容に相応しい独特の花形状です。中央のDen. trichostomumはニューギニア生息種で同一株でありながら低温から高温環境まで栽培可能な、温度域の広い数少ないデンドロビウムです。セパルペタルが赤色-黄色ーオレンジ色まで多様です。リップが黄色をベースに細毛のある縁が赤いフォームはネットにも無く希少種と思われるため取り上げました。右のDen. annaeは一般フォームはセパル・ペタルの先端部に青紫の斑点があるのですが、写真の花は白一色で、むしろリップの朱色が引立ち存在感があります。30株ほど栽培している中で、この無斑点種は1株だけです。
下段左のDen. aurantiflammeumはセパルが9㎝あり、これまでの最長を更新しています。orchidspecies.comによれば本種の長さは僅か
0.6インチ(1.5㎝)と記載され何かの間違いと思います。そんな訳で、今回メジャーと共に撮影しました。Vanda lamellataは多数の変種があり、 var. boxalliは株サイズが最も大型になるようです。変種の比較をリップ形状で分かるように画像下の種名リンク先に画像を更新しました。Vanda tricolorはマーケットではハイブリッドが多いようですが、画像のsuravisフォームは原種と思います。それぞれの花や株の詳細画像は画像下の種名をクリック下さい。