1月
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Bulbophyllum inacootesiae | Bulb. inacootesiae 花茎と蕾 1月30日撮影 |
Vanda jennae 今年も笑顔で登場です。
Vanda jennae Sulawesi |
Bulbophyllum maxillare (Syn: Bulb. blumei)に見る花サイズの変化
本種はボルネオ島、マレー半島、スマトラ島、Java、フィリピン及びニューギニアの低地に広く生息するバルボフィラムです。当サイトが本種の栽培を始めたのは2014年からで、花サイズは通常、縦幅6-9cmとされています。しかし2016年にマレーシア・キャメロンハイランドを訪れた際、園主に見せて頂いた17㎝もある花サイズの写真に驚き、早速現地にて5株程を入手しました。その際、園主からは花サイズはバラツキがあって、必ずしも写真のようなサイズが得られるかは分からないとのことでした。その後、この入手株は同年末に初開花し、その時は一般種と同じような6㎝サイズで、翌年の4月には10㎝サイズの花が付き、年々僅かながらも大きくなり現在では14㎝を超えるサイズに達しています。下画像はそのBulb. maxillareで、左からそれぞれ2017年4月、2017年10月、2021年1月および2024年1月の開花となります。画像下の情報は縦幅の花サイズと撮影月を示します。これまでの多数の品種栽培からは花序(複数の花の集合体)サイズではなく、1輪で5㎝を超える花サイズが、株の成長に合わせその2倍を超えるほどの変化を成す種は珍しいと思われます。10cm-long April 2017 | 12㎝-long Oct. 2017 | 13cm-long(right) Jan. 2021 | 14.2cm-long Jan. 2024 |
Flower-size (Different habitat) | Replants April 2021 | Left plants at Jan. 2024 | Photo by Supplier |
直近の開花14種
先週から腰椎除圧固定手術のため10日間ほど浜松医療センターに入院し、24日に退院することができました。そこで今回、入院前と帰宅後に撮影した14種を取り上げてみました。上段左のBulbophyllum peninsulare名は当サイトでは初めての記載となりますが、「今月の花」2017年4月に掲載したBulb. lilacinum画像は本種の誤りと思われ、新たにバルボフィラムページに本種名の追加を含め修正・追加する予定です。Cleisocentron gokusingiiは現在32株程を栽培しており、昨年9月から末にかけ炭化コルクとポットへの植替えを行い、今回の花は植替え後の初花となります。Coelogyne assamicaはこれまで現地からは全てCoel. lentiginosa名で入荷しており、当サイトではコロナ前まで本種をCoel. lentiginosaとしてきました。しかし2021年にラベルミスと判断し現在の種名に修正しています。なお画像下、名前横のHとMマークは、Hは高温室、Mは中温室(国内の夏季にはエアコンが必要)での栽培を示します。Bulbophyllum peninsulare M-H Thailand | Cleisocentron gokusingii M Borneo | Ceologyne kinabaluensis M Borneo |
Coelogyne assamica M-H Myanmar | Dendrochilum coccineum M Mindanao | Dendrobium paathii H Borneo |
Dendrobium jyrdii H Palawan | Dendrobium ellipsophyllum green H Palawan | Dendrobium ionopus M Luzon |
Dendrobium roslii H Malay Peninsula | Dendrobium atjehense M Sumatra | Dendrobium trichostomum M-H Sumatra |
Dendrobium lydiae M Mindanao | Dendrobium deleonii M Mindanao |
Dendrobium igneoniveumの新芽
25株程のDen. igneoniverumをスマトラ島からマレーシア経由で入手してから7年になります。当時、本種の生息域(標高)に関する情報が得られず、中温および高温室での栽培を通して本種はやや暑さを嫌う性質があることが分かり、高温室の中でも比較的輝度の低い通風のある場所での栽培を続けてきました。しかし昨年の夜間平均温度30℃が長く続く猛暑で、8月ごろから落葉が目立ち始め、対策としては散水頻度を増し室内の平均温度を下げる対応をしました。11月に入り気温がやっと低下してきたこともあり、根のチェックも兼ねてそれまでの炭化コルクから木製バスケットへの植替えを行った結果、それまで止まっていた芽の動きや新芽の発生も見られるようになりました。この様相は昨年末に取り上げたDen. aurantiflammeumと全く同じです。下画像は本種5株を選んで撮影した新芽です。こうした経験から昨年並みの猛暑が今年も予測されるようであれば夏季は中温室に移動しての栽培とする予定です。Dendrobium igneoniveum 新芽 |
Bulbophyllum arfakianum, fraudulentum, fritillariflorum これらHyalosema 節に見られる不可解な種名の現状
今月初めバルボフィラムHyalosema節の3種を取り上げました。現在のネット上での特にHyalosema節の情報は余りに混乱しており、今回新たにBulb. fraudulentumを加えて問題のある花画像とその種名に関して考察しました。以下青色文字のクリックでそれぞれの画像を見ることができます。まず種を同定する場合、何を基本とするかですが、花の視覚的形状や色は必須としても、形状が類似し外見での識別が困難な場合は、Labellum(リップ)形状をまず比較し、最終的な同定確認もLabellumとすべきことをE.A.Christenson著 PHALAENOPSIS A Monograph (胡蝶蘭原種)で学びました。しかし今回取り上げるHyalosema節においては、その花あるいはLabellumが明らかに異なるにも拘らず、同種名とされている実体が多数見られます。Bulbophyllum arfakianum/fraudulentum Lip&Petal Form | Bulb. fritillariflorum Lip&Petal Form |
現在開花中の15種
年初めに各地で災害や事故が起こっています。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。また今年こそはラン生息国サプライヤーの活動がコロナパンデミック以前の状況に戻ることを期待しています。昨年暮れから現在開花中の15種を選んで撮影しました。Bulbophyllum venulosum Borneo | Bulbophyllum acuminatum Borneo | Bulbophyllum sp aff2. bolsteri Luzon |
Bulbophyllum costatum Luzon | Bulbophyllum chrysendetumPalawan | Bulb. sp aff2. trigonosepalum Mindanao |
Bulbophyllum ankylochele NG | Dendrobium lambii Borneo | Dendrobium furcatum Sulawesi |
Dendrobium multiramosum Luzon | Dendrobium kuhlii Java | Dendrobium anosmum semi-alba Moluccas |
Dendrobium leporinum Jailolo Indonesia | Dendrobium leporinum semi-alba NG | Dendrobium deleonii Mindanao |
Bulbophyllum Hyalosema節3種
下画像は現在同時開花中のBulb. fritillariflorum、Bulb. sp aff. fritillariflorum及びBulbophyllum grandiflorumで、それぞれの花被片とLabellum(リップ)を比較したものです。これまで本サイトでは画像中央の種をBulb. sp aff. grandiflorum(grandiflorumの近縁種)としてきましたが、ペタルは grandiflorumに似ているものの、セパルの自然体での形態や表皮に薄く残るテキスチャーの模様からはむしろ左画像のfritillariflorumに似ており、本種についてはsp aff. fritillariflorumに種名を変更しました。2015年入荷時のサプライヤーからの種名は、タイで実生化されたBulb. grandiflorum albaでしたが開花した花色から当サイトではgreenとしてきました。現在、中央画像の種を25株ほど栽培しており、全株でハイブリッドに見られるような個体差は無く花形状は同じです。しかし本種の自然界での生息実態は未確認です。ネット検索では本種フォームをBulb. arfakianumの変種とするサイトも見られます。arfakianumは下画像とはペタル形状が異なることと、花サイズ(正面から見た横幅)がIOSPEのサイトの arfakianumでは2.2㎝に対し、下画像種はドーサルセパル幅4.7㎝、自然体のラテラルセパルを含む横幅は8㎝(サイズは画像下の青色種名のリンク先参照。)で大きな違いがあり結果、画像中央種は arfakianumのグリーンフォームとは異なります。一方、左のfritillariflorumフォームもarfakianumとするサイトがあります。こちらもOrchid Rootsに掲載のfritillariflorumのペタル形状に見られるようにarfakianumとは異なり、当サイトで撮影のリップ形状の実態と、これらの情報を参照してfritillariflorumとしています。Bulbophyllum fritillariflorum PNG | Bulbophyllum sp aff. fritillariflorum ? | Bulbophyllum grandiflorum Sumatra |
Bulbophyllum makoyanum 及びBulbophyllum brevibrachiatum 類似種
2015年から5年間でバルボフィラムsp(種名不詳)としてフィリピンやマレーシアから入荷した株は50種以上に上り、その中ではCirrhopetalum節が多く含まれ、これらは既知種の個体差、地域差あるいは別種かの同定が難しい状態です。下画像はその中から、これまでに撮影したフィリピン生息の形状の類似する9種を選びました。画像は花被片とリップを上下一対としています。上段左から下段右に向かって花形状がBulb. makoyanumからBulb.brevibrachiatumに類似した種を順に並べました。 種名が確定している画像は上段左のBulb. makoyanumと下段右のBulb. brevibrachiatumとなります。Bulbphyllum makoyanum | aff(1) makoyanum | aff(2) makoyanum |
aff(1) brevibrachiatum | aff(2) brevibrachiatum | aff(3) brevibrachiatum |
aff(4) brevibrachiatum | aff(5) brevibrachiatum | Bulbophyllum brevibrachiatum |