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7月
Dendrobium短命花3種の植替え
今月入りDen. elineae、Den. aureilobum (旧名:Flickingeria aureiloba)およびDen. plicatile (旧名:Flickingeria fimbriata)3種の植替えを行いました。いずれも短命花ですが、良い香りがします。下画像からは炭化コルクへの植付けのように見えますが、全種炭化コルクに杉皮を重ねた45cm x 15cmサイズの支持材です。これら品種は根張りが活発で、炭化コルクのみの場合は表面だけでなく内部にも多数伸長するため、植替え時に根を極力傷つけないように剥がすには1時間ほどを要します。これを避けるには杉板のように根が表皮のみに伸長・活着する支持材であれば1/5程度の時間短縮となり、当サイトでは現在、垂直タイプの支持材はほぼ全て杉材に変更しています。
画像下の青色種名のクリックでそれぞれの種の詳細画像が見られます。
現在(24日)開花中の9種
現在開花中の9種を撮影しました。上段のデンドロビウムと下段のバルボフィラムは高温室、他は中温室にての栽培です。
猛暑下におけるラン栽培
梅雨が明け、これまでにない猛暑日が続いています。こうした異常時でのランの栽培環境はどうあるべきかは、多くの栽培者の課題でもあります。IOSPEでは25,000種を越えるランの生息域とその温度範囲を下記に示す4つに区分しています。
寒暖 |
夜間平均温度 |
生息標高域 |
Cold(寒) |
10℃ - 14℃ |
2,500m以上 |
Cool(涼) |
14℃ - 19℃ |
1,800m - 2,500m |
Warm(暖) |
19℃ - 24℃ |
1,000m - 1,800m |
Hot(暑) |
24℃ - 29℃ |
海抜0m - 1,000m |
この区分はランを栽培する上の重要な情報となっており、入手したランの生息標高域が分かれば、その株の適切な栽培温度を決めることができます。無論ランの生息域は広く、同じ標高であっても緯度に伴うそれぞれに異なる気候風土があり、上記は熱帯地域と亜熱帯の一部の地域を対象とした区分けとなります。一方、日本には上記の温度帯を通年で自然の気候に委ねられる地域はありません、このためランを成育させるためには季節毎に、適切な温度のある場所に株を移動しなければなりません。しかし上記の2つ以上の標高(温度帯)を跨ぎ、且つ多数のランの栽培を目論むのであれば、そうした対応は現実的ではありません。その結果、規模は様々であっても上記の夜間平均温度を実現するためには温度管理が可能な温室相当を用意する必要があります。
そこで昨今の全国の気温予測を基に夜間の”平均”温度を推定すると、関東から九州に至る地域での今後1か月間程は、最低温度は25℃ - 28℃前後とされ、夕刻から朝方までの夜間平均値となると、それよりも3-4℃高くなります。よって冷房のない温室内においては、昼間の残熱もあり30℃を越える日も多いと思われます。この温度は上記表のHotタイプのランの成育範囲をすでに越えており,こうした状況が1か月以上連日続くとなれば、標高1,000m以上に生息するWarmからCoolタイプのランでは高温ストレス障害による作落ちや枯れる可能性が高くなります。これを避けるには空冷が必須となります。空冷の最も簡便な手段はエアコンですが、趣味家の中には自動散水による手段も見られます。当サイトでは4棟の温室の内、エアコンによる空冷は上記のColdからCoolタイプ用として1棟のみで、他3棟はWarmからHotタイプ用としてエアコンを設置はしているものの稼働させていません。この結果、3棟は室外気温が35℃を越えると、70%寒冷紗下でも晴天日の温室内は40℃近くになります。この対策として昼間は地下水で午前10時と午後3時に散水をして35℃以下に押さえ、夜間は室外気温と同じ30℃以下にしています。散水で5℃程下がるのは、地下100mから汲み上げた15℃の地下水による温室全体への散布と気化熱との相乗効果によるもので、水道水では今年のような猛暑下では散水時を除き2-3℃の温度低下が限度と思います。
特別な空冷対策が無く、昼間1回程度の水道水による葉水では、1,000m以上に生息のランにとって今年の猛暑を乗り切ることは困難で、エアコンの設置は避けられない状況になってきました。現在栽培している、あるいは栽培を始めようとしている趣味家は、IOSPEのサイトにアクセスし、それぞれの属種の生息域を確認されることをお勧めします。来年以降も夏期の猛暑は一層強まることが予想されており、この数年のミズゴケをはじめとする資材の高騰や今後の空調設備の必要性など、ランの栽培はこれまで以上にコストのかかる趣味の一つになりつつあります。
Bulbophyllum hampeliaeの植替え
先月取り上げたBulb. hampeliaeの植替えを行いました。植替えは年末までにと考えていましたが本種の入手難と希少性から優先順位を上げることになりました。中央画像が植替え前の木製バスケットに植え付けられた本種で、新芽を含め葉付きバルブ数が30個ほどのクラスター株です。これを4株に分け、右画像に見られるように45㎝x15㎝3枚と60㎝x15㎝1枚の、杉皮と炭化コルクを重ねた支持材にそれぞれを植え付けました。支持材当たりの葉付きバルブ数は画面奥からそれぞれ5、10、6、11バルブとなっています。これまでバスケットでの栽培であったためバルブ・リゾームは四方八方に伸長しており、これを右画像のような垂直支持材に一列になるように取り付けるにはどの位置でリゾームを切断するかに苦労しました。盆栽用1㎜径のアルミ線で数本のバルブは矯正されており、こうしたバルブは半年ほどして新根が杉皮に活着した頃にアルミ線を外すことになります。
Dendrobium pedicellatum
J.B. Comber著Orchids of Sumatra 2001によると本種はスマトラ島標高1,300m - 2860mの生息とされます。この標高での生息種は夜間平均温度が20℃を越える環境での栽培は出来ません。当サイトでは2016年スマトラ島のサプライヤーからDendrobium atjehenseと共に本種を入手しました。その時のサプライヤーから送られた花画像を2016年2月の歳月記に掲載しています。入手当初は低温(夜間平均温度15-17℃)と中温(夜間平均温度17-20℃)室で栽培を始め、現在は中温室にて良好な成長が見られることから、入荷ロットはやや低地の800mから1,500m程の生息種と推定しています。本種のマーケット情報は少なく、国内で1点オークション出品がありましたが、花画像が無く高温に強いとの一般説とは異なる説明記載があり、株のみでは客観的本種確認ができず、このサイトを除くと、ネット検索からは国内外共に販売サイトは見られません。こうした状況から希少性が高いと考え、今週植替えを行いました。下画像がバスケットへの新しい植付けです。本種は通常、葉を落とした疑似バルブ先端部に花序を付けますが、今回の開花では珍しく葉の付いたバルブ先に開花していたため撮影しました。当サイトでは本種に関して花のSpur(距)形状が異なる2つのタイプがスマトラ島から入荷しており、本種名と共にaff. pedicellatumの2つのページを掲載しています。画像下の2つの青色種名のそれぞれのクリックで、これらタイプの詳細画像が見られます。
Dendrobium papilioの最も小さな花サイズ
Den. papilioと云えば、細長い茎(疑似バルブ)の割には大きな花が咲くことで知られています。IOSPEによれば本種の花サイズは4㎝ - 7㎝とされます。しかしすでに知られているように左右のペタルスパンが10㎝を越える花が咲くこともあり、また8㎝程の花サイズはそれほど稀でもありまん。当サイトでは2016年東京ドームらん展で本種の開花株を10株ほど出品しましたが、その花サイズは8㎝ほどで数株が10㎝を越えており大きな反響を呼びました。この時の価格は8㎝が2,500円、10㎝が4,000円ほどではなかったかと思います。このロット株は2014年5月にフィリピンにて入手したもので、殆どの花サイズは8㎝ほどでした。今回本種を取り上げるのは、前項のBulb. facetumの花サイズでも提起しましたが、ではDen. papilioではIOSPEの4㎝に比べ一体どこまで小さい花が咲くのかを報告するためです。本種についても最小花について話題になったことはこれまでに無いと思います。
下画像は今月12日および13日に撮影したもので、左画像にある左側の花はIOSPEのサイズのほぼ中央値となる5.3㎝です。一方右側の小型の花は2.7㎝でおそらく殆どの人は、これほど小さな本種の花はこれまで見たことがないと思われます。中央はその小型の花を拡大した画像です。このサイズはその花のみに生じた変異ではなく、右画像が示すように1株に5個の花が同じサイズで開花しており株としての様態です。おそらくこの株も今後新しい太い疑似バルブが発生し成長すれば、そのバルブには大きな花が咲くかも知れません。よって現時点ではmidget名は付帯できません。
下画像は数値によるサイズ比較は感覚的に分かり難いので、ペタル間スパン8㎝と今回開花の3㎝程の花をそれぞれ並べた画像を作りました。両者の撮影日は異なるため、画像倍率を一致させる処理をした後の合成画像となります。
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本種の花サイズはバルブの背丈ではなく、その太さに依ることをこれまで述べてきました。下画像左は現在栽培中の本種の疑似バルブの1例を示すもので本日(14日)の撮影です。この画像を拡大した右画像には左側に1本の細い新バルブが、またその右隣には太く成長した2本の新バルブがあります。さらにその右側の多数のバルブは古いバルブとなります。こうしたバルブの太さは主に新芽の段階で決まり、細いバルブが年月をかけ数倍太くなることはまずありません。バルブの太さは根と関わりがあり、多数の根を長く伸長させることが本種栽培には必要で、このためには植付けの際に根の伸びしろを十分確保することです。大きな花姿を見て本種をこれから入手しようと思われる方は、バルブの背丈よりもまずバルブの太さを比較し選ぶことが要となるでしょう。
現在(12日)開花中の9種
静岡県では猛暑がここ4日ほど続きましたが、12日は雨天となり浜松は正午で25℃ほどになっています。来週月曜日まで雨天日が続く予想で、この機会に病害防除の薬品散布をと準備中です。最近の農薬はベンレートとストロピーフォアブル2種を交互に使用、さらにアグリマイシンおよび殺虫剤としてはダントツそれぞれの規定希釈混合液となっています。こうした猛暑の中、多数の株で開花が見られます。下画像上段左のBulb. polyflorumは2016年発表の新種で、現在バルボフィラムの中で最も入手が困難な原種の一つです。これまでの購入経験では十中八九がミスラベルで、現地からは花の確認がないままの出荷が常態化しており、サプライヤーが花を見ていることを確認したうえでの入手が必須です。中央のBulb. sannioは2008年発表のパプアニューギニア生息種です。生息域は標高900m程とされますが、当サイトでは高温室の種(標高800m以下に生息)と同じ栽培環境で良く成長しています。
Bulb. orthosepalumは7年ほど前は1葉1万円でしたが、現在40-50㎝を越えるようなサイズの株が販売されているかは不明です。ネット検索では数サイトに販売サイトがあり、45ドル(7,200円)で販売のサイトでは葉長の情報がなく、3インチポットで販売とのことです。すなわち7.6㎝サイズ径のポットに植え付けられた株のサイズから推定すると、極めて小さい苗ではないかと思います。また別サイトでは149ドル(24,000円程)があり、こちらは4葉株で、その中で最長葉が約12インチ(30.5㎝)とされています。このように本種は葉長によって価格が大きく異なることから、入手を希望される方はまず葉サイズとその数を確認することが必要です。当サイトでの栽培は昨年10月時点で5株でしたが株分けで現在7株あり、その内6株に50㎝越えの葉が含まれます。輝度の高い場所に昨年末に移動したことで全体に葉の伸長が見られ70㎝を越える株もあります。
いずれにしてもバルボフィラムとしては最も高額な種の一つです。
下画像左のBulb. veldkampiiはスラウェシ島低地生息で2011年発表の比較的新しい種です。当サイトでは2016年Bulb. orthoglossumにまぎれてスラウェシ島から1株入荷していましたが、花を確認した2年後に7株程を入手し、現在は5株栽培しています。ネット検索からは本種の国内販売は見当たりません。海外のサイトではAndy’sOrchidsが見られます。しかし本種について販売名がBulbophyllum-veldkampii (amplebracteatum) の記載となっています。両者は全く異なる種であるにも拘らず、veldkampiiがBulb. amplebracteatumの別名あるいは同じ種と解釈されるような理解不能な表記です。そこでふと気付いたのですが、過って本種がBulb. orthoglossumにまぎれて入荷したと述べましたが、Bulb. orthoglossumとBulb. amplebracteatumとは花姿が酷似しており、同じスラウェシ島の生息種であることから、当サイトが経験したことをAndy'sOrchidsにも起こり、本種とBulb. amplebracteatumとはシノニムの関係ではとの思い違いをしているのではと憶測しています。これではveldkampiiで注文してもamplebracteatumが送られてくるかも知れません。
画像右のDen. treubiiも国内販売は見当たりません。 Phal. bellinaは現在のマーケットでは殆どが実生ですが、画像の花株はマレーシア趣味家から入手した野生栽培株です。取付材の炭化コルクが古くなり崩れて落下し、ベンチの上に半年ほど放置状態でしたが、この開花を機に杉板に植替える予定です。
(後記14日):Bulb. veldkampiiとBulb. amplebracteatumやtrigonosepalumとの画像比較をveldkampiiのページに追加しました。
花サイズと種名について
同一種でありながら株によって開花した花のサイズがそれぞれ異なることは普段の栽培でもしばしば経験することです。特に平均的なサイズと比較し、可なり大きなサイズの花であれば稀な形態として珍重され、一般種と異なることを示すための付帯名(愛称)giantとかgiganteumなどがその種名に付けられることがあります。サイズだけでなく花色や花柄の違いも、再現性があり遺伝的継承性や排他的な生息地域性があれば、亜種(subsp.)、変種(var.)あるいは品種(form)を示す公的な分類名を付けることもできます。一方で、特にサイズについては一般種と比較し、どれほどの違いがあれば変種あるいはフォームと云えるのかの定量的規定が見当たりません。当サイトではネットや専門誌等に記載されている花サイズをまず標準値として考え、花サイズがその標準値の1.5倍程あるいは以上を他サイズと区別するため、例えばgiant等をその付帯名としています。
そうした中で今回、大きな花には愛称や分類名が与えられているものの、一般サイズと比べ可なり小さな花にもそれなりの付帯名があっても良いのではとの疑問を感じました。特別に大きな花も、また小さな花も希少であることには変わりありません。しかしサイズは環境や株の成長度に影響を受けやすい、あるいは小さな花は観賞的価値が劣るため特別な名前を付けにくいとする背景からか、単に矮小花とされているのではとも思います。そこで今後当サイトでは、5年以上同一栽培環境下にあり、株サイズもほぼ同じであるにも拘らず一般サイズと比べ小さな花はgiantの反意語であるmidgetを付帯名にと考えています。そこでルソン島生息のBulbophyllum facetumを例に取り上げてみました。Bulb. facetumの花サイズはIOSPEによれば7㎝です。またCootes著Philippine Native Orchid Speciesではペタル1枚のサイズは最大(up to)で3.2㎝とされ、これを左右のペタル間の幅に換算すると凡そ7㎝となり、IOSPEのサイズと同じです。すなわち7㎝は一般種の中での最大値となります。よって取敢えず当サイトでは7㎝をサイズ評価の標準値とします。
下画像にBulb. facetumのメジャーと共に花サイズを示します。画像左のBulb. facetum midgetの左右ペタル間の幅は4.7㎝、画像中央のペタル間スパンはほぼ標準値の6.8㎝、画像右のBulb. facetum giantは標準値のほぼ1.5倍となる10.4㎝となります。giant花は上記著書に書かれた最大値を遥かに超えます。一方、左のmidget花はgiant花の1/2以下のサイズであり、これ以下のサイズが現存するかは比較対象(情報)が無いため現時点では分かりません。。
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Bulb. facetum midget |
Bulb. facetum (Common size) |
Bulb. facetum giant |
上画像種はフィリピンにて2018年入手、撮影日は中央が2021年5月また左右のmidgetとgiantはそれぞれ今月8日と5日で、当サイト温室内での撮影です。それぞれの花株は全て植付けおよび栽培環境は同じで、栽培開始後に新たに発生したバルブ基からの花芽での開花です。こうした左右の花を見てみると、それぞれに個性があります。同一種の中の様々なサイズの違いも原種である限り、人が作り上げた交配種ではなく、長い年月に渡り種を継承する中で現在の姿を生み出した自然の必然あるいは偶然性がそこにはあると思うと、不思議な魅力を感じます。
現在(7日)開花中のDendrobium15種
現在開花中のデンドロビウム15種を撮影しました。詳細画像はそれぞれの画像下の青色種名をクリックすることで見られます。
Paraphalaenopsisの植替え
下垂した2mにも及ぶ長い円柱形の葉をもつボルネオ島生息のParaphalaenopsis labukensisの植替えを行いました。本種の栽培ではこれまでコルク、ヘゴ板、木製バスケット、炭化コルクなどに取り付けてきました。現在は60㎝長の杉板が主な支持材で、同サイズのヘゴ板と炭化コルク+杉皮への取付も成長度合を調べるために使用しています。下花画像はバスケット植付けでの8年前と2年前の撮影です。右が今回杉板に植替えを行った14株の一部を4日撮影したものです。本種は葉と同じような太さの固い根を四方八方に伸長するため、その多くは空中に飛び出し、活着点が無ければやがて伸長が止まり根が痩せ枯れてしまいます。根を如何に保水性のある支持材に活着させるかが成長の要となります。本種は頻繁な散水が必要(濡れている状態を好む)と云われるのは、この空中に浮いた根を乾燥させないための対応で、何らかの方法で根を植え込み材や支持材に接触させていれば他種と比べ特別に散水が必要と云うわけではありません。一つの方法としては、現地コレクターの栽培で見られるように、気相率を保ちつつも根を支持材に押さえつける方法として、鉢底ネットのような固く細かな網目のネットを株元に被せることです。下画像右の植替え後の株で例えれば、株の根もとから支持材トップのスペースをネットで覆うことになります。一方、下に伸びた新根は右画像に見られるように支持材下部はほぼ全面に薄くミズゴケを敷いているため、支持材から離れようとしている根は、盆栽用アルミ線でミズゴケに接触するように根の伸長が続く内に押えます。当サイトでも今回は根の発生を確認し次第、そうした対応をする計画です。
現在(4日)開花中のBulbophyllum 18種
今月に入り開花したバルボフィラム18種を選び撮影しました。詳細画像はそれぞれの画像下の青色種名をクリックすることで見られます。
ところで本日(4日)の静岡県の予想最高気温は38℃とのことです。浜松では現時点(午前11時)で33℃となっています。気温が35℃近くなると、温室全体を70%寒冷紗で覆っても晴天日の室内は40℃を越え始めるため、当サイトでは15℃の地下水を1日2回、温室内全体に散布し室内の温度を35-36℃に保っています。今年の夏期の栽培は昨年以上に暑さとの闘いになりそうです。
一方、東南アジアにおける標高800m以上に生息する、いわゆる中 - 低温タイプの原種は、夜間平均温度が25℃以上には耐えられません。やがて葉先や根が枯れ始まることから、これらの栽培にはエアコンあるいは自動噴霧(散水)器等による空冷が必須です。夏期のみ室外の軒下などやや涼しい場所に移動することも対策として考えられますが、気根植物が多いラン栽培には温度だけでなく湿度も重要です。しかし国内の殆どの地域では空中湿度が低すぎて根周りの乾燥が早く栽培には適しません。エアコンや散水等による栽培温度の制御が困難な環境では、800m以上に生息の原種の栽培は避けるべきと思います。
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